琴似ファミリークリニックでの診療5年目にあたって
平成25年4月より琴似ファミリークリニックの外来を担当させていただき、今年で5年目になりました。この度、クリニックも移転・拡大し新たな気持ちで診療にあたっております。
ところで、みなさんの仕事におけるモチベーションは何ですか?
モチベーションとは「何かをする際の動機づけ、あるいは目的意識」と訳されますが、要するに“何のために働くのか?”ということです。医療機関であれば何のために診療や研究を行うのか?ということになります。
これまで私は大学病院や研究施設、あるいは地方の基幹病院、診療所などで診療、研究を行ってまいりましたが、それぞれの施設ごとにモチベーションは違ったように感じました。ある施設では論文数を増やす、あるいは質の高い論文を書くことがモチベーションになる場合もあれば、診療を通して得られた知見を学会発表することがモチベーションになっている場合もありました。また別の施設では内視鏡検査や治療などの件数を増やすことがモチベーションになる場合もありました。
では我々のクリニックのモチベーションは何でしょうか?
大病院のような検査件数や論文作成は小さなクリニックではモチベーションには成り得ません。この5年間をとおして私のモチベーションになっているのは、患者さんからの
”この病院で良かった“という一言です。数や形には残らないものですが、医療の本質を映し出している言葉ではないでしょうか?大きな病院では出来なくても小さなクリニックだから出来ることがあるということです。
今後も患者さんから頂く、その一言のために、職員一同プライドを持って診療を行っていきたいと思います。
外来診療を担当するにあたり
【はじめに】
平成25年4月1日より外来を中心に担当させていただいております中西 満と申します。医師になって15年以上がたちますが、北海道大学病院をはじめ地域の基幹病院での診療を通して最先端の診断、治療を学んできたつもりです。しかしながら私がここまでの経験で学んだ一番重要なことは「病気に大きいも小さいもない」ということです。例えば約20年前まで「脂肪肝」は定期診療の必要がない病気とされていました。しかし、ここ10数年で「脂肪肝」の中にも徐々に肝硬変や肝癌を発症するリスクのある「非アルコール性脂肪肝炎」が存在することが明らかにされてきました。「脂肪肝」といえども初期の診断や治療方針が違えば、患者さんの寿命に大きく影響を与えることになるのです。こういったことから、どんな病気も早い段階で発見して適切な治療方針を立てることが地域医療の最も重要な役割であると考えています。また大病院ではどうしても診療時間の確保が難しく、じっくりとお話が聞けない慢性期疾患をお持ちの方にも当院のような地域の診療所が果たす役割は大きいものと考えています。当院では採血・採尿検査、胸部・腹部レントゲン検査、心電図、胃バリウム検査、胃カメラ(鼻からの挿入も可能)、大腸カメラ、腹部エコー検査などが可能ですので、一般内科診療を行うには十分な設備が整っております。またCT検査が必要な場合は関連施設である新発寒ファミリークリニックで行うことが出来ます。何か心配な症状がある場合、健診で要精査のマークがついた場合(健診自体も行っておりますが)、大きな病院から地元の診療所へ転医したい場合などがございましたら、一度受診してみて下さい。また、「肝臓病」に関しては、長年携わってきた領域でもありますので、当院での治療を行うかどうかは別としても、一度お話しを聞きにきてください。琴似ファミリークリニックの名のごとく、地域の方の家族あるいは大切な人のために誠心誠意努めてまいります。
2013年4月1日 中西 満